2022.2.10 木曜日

【レーベル・ロゴの世界】第5回「FOOD (RECORDS)」


ロゴマークを愛し、音楽を愛する弁理士による、世界のレコード会社・レコードレーベルのロゴマークへの、片思い的リスペクトを込めてご紹介する連載です。

その第5回は、ちょっとマニアックかもしれませんが、90年代のUKロック・ファンには懐かしい、このレーベルのロゴマークを取り上げたいと思います。

登録4064331号

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-1995-045601/8A3AC1836C509EDE4962BA0B7829535F4E5886A5A4035FE7B4A57FD460526319/40/ja

イギリスのレーベル「FOOD RECORDS」のロゴマークです。こちらを取り上げようと思ったのは、その創始者の1人の訃報と、それにリアクションしたかつての所属アーティストに関する記事がきっかけでした。

◎「ジーザス・ジョーンズ、フード・レコーズのアンディ・ロスの訃報を受けてブラーに再始動を呼びかける」(NME JAPAN)
https://nme-jp.com/news/111824/

この見出しに、FOOD RECORDSの重要な関連人物がかなり凝縮されているわけですが、このインディ・レーベルを最初に立ち上げたのは、デヴィッド・バルフ(David Balfe)で、1984年のことだったそうです。デヴィッドはミュージシャンでもあり、Teardrop Explodesのキーボディストとして、自分も大好きな”Reward”(81年全英6位)で弾いていたというのは、今回調べて初めて知りました。

そして、今回訃報が伝えられたアンディ・ロスは、内国歳入庁の役人と音楽ジャーナリストを掛け持ちしていたという風変りな人。デヴィッドの彼女から紹介され、86年頃FOOD RECORDSに参画したそうです。同レーベルは、自分も80年代に好きだったZodiac Mindwarpや、Voice Of The Beehiveなどを見出したそうですが、自分が知ったのはこれらのバンドがメジャーと契約してからなので、当時はその存在をよく知りませんでしたね。

むしろ、このレーベルのことを認識したのは、90年代の初頭、このバンドの台頭によってでした。

ジーザス・ジョーンズ(Jesus Jones)ですね。エレクトロとロックを融合させる、というコンセプトは彼らが最初という訳ではありませんが、サンプリング・カルチャー、(ファッションも含めた)ストリート・カルチャーを吸収した新しい世代であり、とても刺激的に、魅力的に写ったものです(余談ですが、彼らの2nd Album『Doubt』は、自分の大学1年の後期試験直前にリリースされ、普段勉強していない学生にとって、最も緊張感漂う時期のサウンドトラックとして、強く記憶されています-苦笑)。

そして、この曲などはアメリカでも90年に2位まで上がる大ヒットとなり、同レーベルに大きな成功をもたらします。

続いて、90年秋には、もう一組、このレーベルを強く意識させることになるバンドがデビューします。

ブラー(blur)ですね。その後、90年代中盤に巻き起こった「ブリットポップ」ムーヴメントの、オアシス、パルプと並ぶ立役者となっていくわけですが、彼らがFoodと契約する前年、今回訃報が伝えられたアンディが、彼らのライヴを見て、強く惹かれたことが契約のきっかけだったそうです。


(弊所所長弁理士・小野尾の私物)

なお、アンディと会った頃、ブラーは「Seymore」というバンド名だったそうです。これをアンディとデヴィッドが説得して、現在のバンド名に改名したんだそうです。その後の成功を見れば、このアドバイスを受け入れたことは正しかったのでしょう。

そんな同レーベルですが、94年には、メジャーレコード会社のEMIに買収されることになります。しかし、実は両者の関係は80年代末期から始まっていました。EMIが長期的な資金提供をFOODにし、FOODは、有望な新人バンドを発掘、EMIに供給するという契約を結んでいたのです。

EMI買収時にデヴィッドは同レーベルを離れますが、アンディは引き続きA&Rを努めます。同レーベルのロースターには、ロンドン発の「コギャル」ことシャンプー(SHAMPOO)もいました。

上述のグループは、本国イギリスのみならず、(ときには本国以上に)日本でも成功を収めました。日本の配給先である東芝EMIと、その担当者達(※同社に96年から勤務した、ぼく先輩たちですね)は、アンディ達から多大な信頼を受け、97年には日本限定のこうしたレーベル・コンピも発売になっています(※残念ながら今は廃盤)。

(『ベスト・オブ・フード・レコーズ』TOCP-50321)

先鋭的で、それでいて大衆的な面も持ち合わせた、非常に魅力的なロースターでしたね。この中では、自分はダブスター(Dubstar)のこの曲が好きだったなぁ。

さて、バンドとの出会いから、その後の成功まで、重要な時期を過ごしたアンディの訃報をうけ、冒頭の(ジーザス・ジョーンズの)マイク・エドワーズが、ブラーに、「アンディへの追悼で何かいっしょにやらないか」という投稿につながったんでしょうね。ブラーは、バーチャル・バンド「ゴリラズ(Gorillaz)」を手がける、Vo.のデーモン・アルバーンを筆頭に、個人の活動が目立っており、なかなか再始動は簡単ではないでしょうが、きっと故人への哀悼の意は、みな共通でしょう。同氏が発掘したアーティストたちに胸をときめかせたリスナーとしても、あらためてご冥福をお祈りいたします。

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