2026.8.17 月曜日

【レーベル・ロゴの世界】第9回「MOTOWN」


ロゴマークを愛し、音楽を愛する弁理士による、世界のレコード会社・レコードレーベルのロゴマークへの、片思い的リスペクトを込めてご紹介する連載です。

その第9回ですが、まずこちらの映画、もうご覧になられましたでしょうか?

映画『Michael/マイケル』です。

“キング・オブ・ポップ”ことマイケル・ジャクソンの半生を描いたこの作品、既に興行収入70億円を超えた(※8月現在)そうで、「洋画不振」が囁かれる近年の日本では、画期的な大ヒットになっていますね。そんな筆者も、筆者も公開日に見て大興奮、その後もう1回見たほどなのですが、

今回は、マイケルが所属していた兄弟グループ「ジャクソン5」の出身レーベルを取り上げたいと思います。

MOTOWN (モータウン)です。
https://classic.motown.com/

日本でも商標登録が複数されており、最も古いものだとこちらになりますね。

登録1957036号(※第9類 指定商品「レコード」等を指定)

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/TR/JP-1983-113651/40/ja

モータウン(Motown;Motown Records)は、1959年、アメリカ合衆国ミシガン州デトロイトに、ベリー・ゴーディ・ジュニアによって、その前身の「タムラ・レコード」が設立され、1960年4月、モータウン・レコード・コーポレーションとなったそうですが、

その「MOTOWN」というレーベル名の由来は、自動車産業で知られるデトロイトの通称「MOTOR TOWN」を略したものなんですね。

そして、このレーベルが音楽的に果たした意義としては、

ポピュラー音楽の人種統合

への貢献がよく挙げられています。これ、ざっくりいえば、「黒人アーティストによる音楽だけど、黒人オーディエンスに限定されず、白人やその他の人種にも広く受け入れられた」と言うことですよね。なんと、

アメリカのヒット・チャート機関「Billboard」の、総合シングル・チャート「HOT100」において、1960年から1969年の間、モータウンはそのトップ・テンに79曲もランクインさせたそうなのです。

このチャートは、シングル・レコードの売上だけでなく、黒人向けに限定されない、一般的な選曲をするラジオ局でのヒットも必要ですからね(それどころか、それまで存在した、「HOT R&B SINGLES」というジャンルチャートは、主にモータウンによるクロスオーバー・ヒットの増加により「不要」と判断され、1965年に「HOT RHYTHM&BLUES SINGLES」として復活するまで、1年強は事実上廃止されていたそうですから、まさに「統合」ですよね)。

その膨大なヒットの中には、2026年来日公演を果たし、健在ぶりをはたした「ダイアナ・ロス(Diana Ross)」率いるこのトリオや、

12歳でデビュー、しかも盲目というハンデを乗り越えて、数々のヒットを放ってきた天才「スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)」らも含まれていました。

そのヒットの量産ぶり、そしてそれらのヒットを、お抱えの作家、セッション・ミュージシャン、そしてプロデューサーらにより「内製」していった様は、”ポップの製造工場”と比喩されたほどでした。そして、それをインディー・レーベル(independent label、独立系)として成し遂げた点もすごいですよね。

ただ、モータウンの凄さはそれだけではありません。いわゆるレーベルとしての勢いは、70年代中盤にはさすがに落ちついていきましたし、マイケル達のように他のレーベルに移籍するアーティストも出てくるわけですが、しかし、モータウンが確立した独特な音楽性、いわゆる

モータウン・サウンド

と呼ばれるスタイルは、国境も時代も越え、現在のアーティストにつながるまで長年、世界中で影響力を与え続けているのです。

・ビートを強調するタンバリン

・ゴスペルを起源とする掛け合い的ハーモニー

といった特徴を持つ、ポップなサウンド…とでも説明できるでしょうか。文章より聴いてもらうのが一番なんですが、例えば、80年代には、「ワム!(WHAM!)」や、「カルチャー・クラブ(CULTURE CLUB)」といった、イギリスのアーティスト達がこのサウンド・スタイルを取り入れて、日本を含む世界的なヒットを放っていますし、

もっと現在に近いところでいえば、「星野源」さんも、自身の大ヒットに、モータウン・サウンドから着想したアイデアを取り入れていることを公言されています。

https://realsound.jp/2016/10/post-9613_2.html

 

また、往年のモータウンのヒット曲の「カヴァー」も、80年代以降いつのディケイドでも、新たなヒットとして鳴り響いてきました。

もはや、モータウン・サウンドは、我々日本人の遺伝子の中にも「ヒットの基本」として植え付けられているように思うほどです。

 

このように、日本を含め世界中でファンを獲得してきた「モータウン」ですから、

そのロゴマークに愛着を持つ音楽ファンも多い

ですよね。そうした、音楽ファンの間での”高いブランド力”を生かした、音楽コンテンツ以外の商品、たとえばアパレルなども多く目にするようになりました。

モータウン・レコーズ VINTAGE LOGO Tシャツ(ロック・オフ/ROCK OFF)

 

このTシャツにあしらわれているロゴマークには、®️が付されていますね。なぜこのような表記が可能かといえば、商標登録が、第25類(指定商品「被服」等)の範囲でもなされているからなんです。

登録3308812号
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/TR/JP-1993-130341/40/ja

これらの商標登録の権利者は、「ユーエムジー レコーディングス インコーポレイテッド(UMG Recordings Incorporated)」と記載されていますね。これは世界的な音楽企業(いわゆるメジャー・レコード会社としてもお馴染みの)ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)の中核を成す、アメリカの統括法人です。

実は、インディー・レーベルだったモータウンは、1988年に(当時はメジャーだった)MCAレコードに買収されます。すると、1993年にはポリグラムに売却されるのですが、MCAの後継企業であるユニバーサル・ミュージック・グループが、1999年にポリグラムを買収・合併したため、結局ユニバーサルのグループ内のレーベルとして、存在し続けているわけです。

しかし、UMGは、モータウンのかつてのヒット音源の権利を、CDやレコードでの再発売、ストリーミング配信などにより活用するだけでなく、

そのレガシーといえる「レーベル名/レーベルロゴ」も、商標登録(と、それによって得られる商標権)を活用して、

ブランド・ビジネスを展開

しているわけですね(※直接、UMGが製造する商品でなくても、商標権を「ライセンス」することで、ライセンス使用料が得られることになるのです)。

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長く使える「ロゴ」制作と商標登録を、一体で考えるということ

ロゴトアールでは、ロゴマークの制作と商標登録を、
弁理士が一体となってサポートしています。
そのメリットは、単に「作成から登録までがスムーズになる」という点だけではありません。

モータウン(MOTOWN)のように、
「ロゴが長く使われ続けるブランド」になるためには、
デザインと、商標権の取得・登録商標の正しい使用といった
知財の観点を切り離さずに考える必要があるからです。

見た目として魅力的なロゴであること。
そして、そのロゴを安心して使い続けられる状態であること。

この二つが揃って、はじめてロゴは
事業にとっての「資産」価値のある権利になります。

モータウンの往年のヒット曲が、あるいは「モータウン・サウンド」に影響を受けた、新しいアーティストによるヒット曲が、
これから先もモータウンの新たなファンを獲得し、そのロゴへ関心が拡大再生産されていく、すなわち「ブランド価値を高めていく」ように、

あなたの事業のロゴもまた、
作った瞬間ではなく、
使い続けた先で価値を持つ存在であってほしいと考えています。

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