2022.10.21 金曜日
【そのお仕事に必要な商標は「コレ」です】クラフトビールを創業する人がとるべき商標とは?【商標登録】
「ロゴトアール」を提供している弊所ONION商標も、所長を筆頭に、お酒好き、特にビール好きな所員が複数おります。それぞれ好きなメジャーブランドはあるんでしょうが、それに加えてつい選んでしまいがちなのが、「クラフトビール」ですよね。
弊所弁理士の山中も、かつてロンドン出張時にマイクロブリュワリー(※小規模ビール醸造所で、直接お客さんに提供してくれるタップルームがあるところも多い)を訪れたり、
https://www.cktravels.com/best-brewery-taprooms-london/
応援している横浜DeNAベイスターズが、独自のクラフトビールを開発したりで、
https://www.asahi.com/and/article/20190822/4561957/
その存在にハマったんだそうです
(…とかいいながら、元々弱いんで、せいぜい1パイントぐらいしか飲めないんですが)。
かつて「地ビール」の一時的なブームもありましたが、現在のクラフトビールは、地域だけでなく「個」、つまり醸造所単位だったり、そこで働く職人さん単位の個性や想いが表現された思い思いのテイストが、それぞれを尊重しながら全体として盛り上がっている感がしています(…まぁあと、シンプルに、美味しいクラフトビールが多い!という事実もありますよね)。
ということで、新たに生まれるクラフトビールのブランドも多いと思うのですが、新規に創業される方であれば、その初期費用の中に必ず「商標登録(商標権の取得)費用」を折りこんでいただきたいと思います。以下を読んでいただければ、その重要性がおわかりいただけると思います。
①なぜ、クラフトビールを始めるのに、商標登録がマストなのか
クラフトビールに限らず、商品やサービスにつける”目印”は、商標登録をすべきなのですが、それは弊所所長が書いたこちらを読んでいただくとして、
「商標登録」をしておくメリットとは? “攻め”と”守り”の観点から、弁理士が解説します
http://onion-tmip.net/update/?p=489
かいつまんでいえば、
*思いをこめてつけた、自身の「クラフトビールの銘柄」を、独占的に使用するためには、商標登録をしておかなければならない。
商標権を取得するのに、会社か個人か、会社の大小は問われません。先に商標権を取得しておけば、どんなに大きな会社にも対抗できます。そして、
*ビールの評判が上がっていくことで、その銘柄に積み重なっていく「ブランド力」を、会社の(無形)資産とするためには、商標登録により「商標権」を取得しておくしかない。
ということなのです。
②クラフトビールで、商標登録をすべきは商品名?ロゴ?デザイン?
では、クラフトビールの銘柄の、”目印”として機能するのって、どの部分でしょう?
*想いを込めてつけた、ブランド名(文字)でしょう →文字は商標登録の対象です。
*かっこいいロゴマークがあるんです →図形も商標登録の対象です。
*いや、ラベル/パッケージ全体がかっこいいんだよね →パッケージも図形と考え得れば、商標登録の対象になり得ます…
「えっ、3つも商標登録しなければいけないの?」と思われるかもしれませんが、優先順位の高いのは、ブランド名(文字)か、ロゴマークです。
さらにその2つのうち、、ロゴマークの中にブランド名が含まれているなら、ロゴマークの登録がまず優先になるかと思いますし、「名前は決まっているが、まだロゴマークはできていない」というような場合は、文字(※標準文字)での登録を優先させてください。
③クラフトビールの商標登録で、指定すべき「区分」とは?
商標登録出願は、その商標を(”目印”として)使用する商品・サービスを指定して出願します。そして、登録が認められた場合は、その指定した範囲で商標権が発生します。
そして、世の中の商品やサービス(※役務、といいます)は、45種類(第1類〜第45類)の「区分」に分類されています。
当然、今回のケースでは、(クラフト)ビール という商品を指定する必要がありますよね。指定商品「ビール」「クラフトビール」は第何類かというと…
第32類 に分類されています。
本当に、そのブランドを使うのが「ビール」という商品だけなら、第32類だけでいいのですが(※「クラフト〜」であろうが、「ラガー〜」であろうが、「◯◯味の」であろうが、ビールである以上は原則第32類に分類されています)、気をつけなければいけないのは、「ビール”以外”の商品や役務にも、その商標を使用する」場合です。
たとえば、「タップルームを作って、そこで直接クラフトビールを飲めるようにしたい。そのお店の名前・看板としても、ビールと同じブランド(商標)を使用したい」という場合は、
第43類 「飲食物の提供」
という区分・指定役務も指定する必要があります。もし、ビールの名前としては他者と被っていなくても、同じ名前をどこかのレストラン(※まさに「飲食物の提供」というサービスをする事業者ですよね)が、その名前を商標登録しているかもしれませんので、注意が必要です。
他にも、ビールのロゴが人気が出てきて、そのマーチャンダイジング(グッズ、物販)を製造販売する場合も、それぞれの商品の範囲を指定する必要があります。
なお、この区分は、特許庁に出願時・登録時に納付する費用にも影響を与えます(※区分数が増加するほど、これらの費用も上昇していきます)。弁理士に出願等の手続き代理を依頼する場合の費用は、弁理士(事務所)ごとですが、これも区分数に連動させている事務所は多いので、総額費用のお見積りを確認しつつ、その商品・役務の使用予定と照らし合わせながら、指定する区分の決定することをお勧めします。
④誰も登録できない商標・特定の人だけが登録できる商標
商標登録の原則は「早い者勝ち」です。もう少し詳しくいえば、③で説明した「指定商品・指定役務」が重複する範囲で、せっかく自分で思いついたブランド名と、同一か類似の商標を、他人が既に出願(→登録)していれば、商標登録は受けられません。
ただ、世の中には「誰もまだ登録していない」のではなくて、「誰に対しても登録が認められない」商標というものがあります。そのポイントは、その商標に”目印”となる力(「識別力」、といいます)があるかどうか。つまり、他人の商品等と、しっかり区別することができるか、という点です。
たとえば、極端な例で言えば、「指定商品「ビール」について、商標『ビール』を登録したい」と思っても、指定商品の一般名称・普通名称が「ビール」なわけですから、他人の商品と区別する識別力がありません。こういう商標は、誰にも登録が認められないわけです(※誰か一人に独占させるのはよくない、という観点もあります)。
このような識別力のない商標を「記述的商標」と呼んだりします。他にも、「黒いビール」とか、「ボトル入りビール」とか、「麦芽100%ビール」というように、ビールの「品質」などをただ説明しただけの文字商標は、誰にも登録が認められません。
その点、「産地・販売地名+ビール」(例:指定商品「ビールについて、商標「九段下ビール」)の商標も、記述的商標として認められないのが原則なのですが、
◎「地域団体商標」という制度があり、特定の組合や、商工会、商工会議所、NPO法人等が、その会員に使用させるために、地域ブランドとして出願する場合、登録が認められ得ます。
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/chidan/t_dantai_syouhyo.html
また、個人や一般企業には「地域団体商標制度」は利用できないのですが、そういう方々にはこちらの方法があります。
◎識別力のない文字に、ロゴマーク(※一般的には、図形には識別力が認められます)を加えれば、記述的商標とはならずに、登録できる可能性が出てきます。
なお、ロゴマークで商標登録できた場合でも、そこに含まれる「識別力のない文字」の使用について、独占することはできません。しかし、それでも、そのような文字をブランドとして使っていきたいというかたは、ロゴマーク化をご検討ください。
⑤クラフトビールの商標登録をすべきなのは、どのタイミングか?
「最初はこじんまりと始めますんで、人気が出てきたら商標登録考えます…」というのが、一番危険なパターンです。前述のとおり、商標登録の大原則は「早い者勝ち」ですから、後回しにしておくと、他の人に先に出願→登録されてしまうかもしれません(そうなったら、あなたの商標は、登録できないことになってしまいます)。
もっといえば、商標登録をせずに商品を発売してしまった後になって、実は自分の銘柄が、他の人が登録していた商標と同じ又は似ていた場合、その人の「商標権侵害」となってしまいます。想いを込めて名付けた銘柄を、変更しなければいけなくなれば、精神的な痛みだえけでなく、マーケティング/経済的な痛み(パッケージ、看板、名刺、ウェブサイト等の変更…最悪、損害賠償も)も伴います。
なお、②とも関連する話ですが、ロゴマークに文字(商品のブランド名)が含まれている場合、「ロゴの図形は類似ではないんだけども、文字が同一又は類似である商標」も、類似と判断される可能性が高いです。
ということは、先に他人によって(ビールと類似する商品の範囲で)同じブランド名(文字)が先に出願されていたら(※いわゆる先願です)、あなたのロゴマークは先願との類似を理由に拒絶され、登録ができない可能性が高くなります。
「これで行きたい!」という銘柄の第一希望案が決まったら、それで具体的な製作に走り出す前に、ぜひ商標登録に向けて、登録可能性の調査から始めてください。特に、ロゴマークに商品のブランド名を含める場合、そのデザインをし始める前に、そのブランド名(文字)の登録可能性を調査する必要があることにご注意ください。
逆に言えば、もし、すでにクラフトビールを販売し始め、軌道にのっている=「ビールの人気が出てきたな、ビールにブランド力がついてきたな」と感じているのに、まだ商標登録出願をされていないという方。もう”待ったなし”です。大至急、商標登録出願に向けて、”商標に強い”弁理士にご相談ください。
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