2021.12.17 金曜日

【レーベル・ロゴの世界】第3回「COLUMBIA」


ロゴマークを愛し、音楽を愛する弁理士による、世界のレコード会社・レコードレーベルのロゴマークへの、片思い的リスペクトを込めてご紹介する連載です。

その第3回は、この企画をやるのであれば、まずは日本最古のレコード会社のロゴマークを紹介すべきでしょう、ということで、原点に立ち返ってのこちらです。

登録318664号

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-1935-018262/8C16DD2F0EEDFC9815DAC2B3F7E621AA5EDB3CF1130C9F8466CC39024E7378BD/40/ja

日本コロムビア(NIPPON COLUMBIA)のロゴマークです。登録商標は、なんと昭和14年7月の登録!(※指定商品「レコード」の範囲での、同社による最古の登録)。

そもそも、同社の前身である「(株)日本蓄音器商会」が発足したのは、さらにさかのぼること1910年(明治43年)のこと。その後、昭和に入って国内プレスによるコロムビア洋楽レコード(黒盤)を発売開始し、1931(昭和6年)に、コロムビア商標を米国コロムビアから譲り受け、すべてのレコードのマークを現在の音符のコロムビア・マークに統一したとのことです(同社の沿革より)。

つまり、上記の商標登録は、その直後に行われたということでしょうね(その後、昭和21年に日本コロムビア(株)と社名変更)。

『ツインノーツ』(16分音符の2連符)マークも、”COLMBIA”の名称も、さまざまなジャンルの音楽ファンにとって馴染み深いのは当然ですが、洋楽ファンの中には「アレ?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません

ソニー・ミュージックのアーティストのCD、特に輸入盤では、この”COLUMBIA”の文字を見たことがあるからではないでしょうか。なぜ、そのようなことが起きるのでしょうか…?

1889年に米ワシントンD.C.で設立されたColumbiaですが、英米で分社化されたうちの英Columbiaは、長くイギリス発のレーベルとして愛された「EMI」のルーツともなっています。さて、日本コロムビアは、上述のとおり創業当初から英米のコロムビア作品の日本での発売権を持っていたわけですが、前者は1962年(昭和37年)にその権利が当時の東芝音楽工業(後の東芝EMI、現:ユニバーサル ミュージック合同会社)に移ってしまいます。

さらに、海の向こうでは、1938年に米CBSがColumbiaを買収し、そのグループの中核レーベルと位置づけるようになります。CBSの世界的な展開は、日本においては1968年(昭和43年)、日本の伸び行く電機メーカー・ソニーとの合弁で設立された「CBSソニー」として実現します(もちろん、後のソニー・ミュージックエンタテインメント)です。当然、海外のCOLUMBIAレーベルの日本での発売権も、CBSソニーが持つこととなりました。

しかし、上述の通り、日本においてはその名称や、オリジナルの『ツインノーツ』のロゴマークは、日本コロムビア社の登録商標であり続けたため、分裂したような事態となったわけですね。

日本の両社、そして海外のCBS/Columbiaも、商標権を侵害せず、また混同が起きないように、以下のような取り組みが行われました:

*米Columbiaは、“ツインノーツ”ではなく、旧母体であるCBSの「目玉マーク」をアレンジしたものが用いられ、

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-1991-022013/6F2C326D7F416A82DA4D54DD6B5FE87F87BD9B83A7A9A325F912A729497429FE/40/ja
(※日本では、登録2681257号、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントの登録商標)

*「COLUMBIA」の字体(プロポーション)を縦長に改変して区別(※日本の商標法上、それでも類似ですが、なるべく混同をさける効果はあるでしょう)

*日本のソニーミュージックが、海外Columbiaレーベルの輸入盤を輸入・販売する際、どうしても「COLUMBIA」の文字商標が残ってしまいますが、日本コロムビア社に商標使用許諾を受け、社名ロゴと商標承認の文字が記載されたシールが貼付して販売

*日本のソニーミュージックが、海外Columbiaレーベルの作品をカナ表記で紹介する場合は、(コロムビアではなく)『コロンビア』・レコードとする

などです。

さて、今回はだいぶレーベルと商標の話になってしまいましたが、日本コロムビアの話に戻ってしめましょう。美空ひばりに代表される、昭和時代の膨大な歌謡曲コレクションを思い出す人、

あるいは、最近の「アイドルマスター(THE IDOLM@STER)」を思い出す人など、

さまざまだと思いますが、弊所の弁理士陣の趣味でいえば、やはりこちらですかねぇ。

THEE MICHELLE GUN ELEPHANT です。

しかし、弊所弁理士たちが所有していた、彼らのアナログ・レコードをいくつか確認してみたところ、

COLUMBIAロゴを発見することができませんでした。残念!(いつか、同社の「TRIAD」レーベルも紹介したいですね)。

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