2021.6.22 火曜日

【不定期連載:レーベル・ロゴの世界】第1回「Virgin」



ロゴマークを愛し、音楽を愛する弁理士による、世界のレコード会社・レコードレーベルのロゴマークへの、片思い的リスペクトを込めてご紹介する新連載です。

記念すべき第1回は、もしかすると「あのエアラインのロゴマークじゃないか」と思う旅行好きな方もいらっしゃるでしょうし、「昔よく行ったCDショップのロゴマークだよ」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。どちらも正解です。

登録2146047
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-1987-022715/7F49B3772904E1F5F3B7DF3A9063840ACFBF1D7B4095E02A848401B2C1295C8E/40/ja

(※特許庁のデータベース「J-PlatPat」より。ちょっと傾いてる? なんせ、出願が紙ベースだった、昭和62年の出願です)

そう、このブランドは、イギリスを代表する実業家、リチャード・ブランソン氏が立ち上げたもの。まずは1970年に通販としてスタートし、71年にロンドンで店舗オープンしたのが、安売りかつ豊富な品揃えを誇るレコード・ショップ「Virgin Megastore」。日本にも1990年に丸井との合弁で進出、2008年まで国内展開されました。

その後、レコードを売るだけでは飽き足らず、自らレコードを制作・販売するレコード会社「Virgin Record」を72年に設立。プログレッシヴ・ロック、パンク・ロック、ニュー・ウェイヴなど、メジャー・レーベルは躊躇していた、しかし当時の若者たちの心をつかんでいた新しい音楽ジャンル・アーティストと積極的に契約し、時代の変化を促しながら、商業的な成功も果たすという偉業を成し遂げていきました。ちなみに、アイコニックな筆記体のロゴは2代目。初代は、双子のような裸の女性をあしらったものでした。

しかし、音楽ファンであるだけでなく、既得権益や既成概念を打ち破ることに燃えたブランソン氏は、航空機事業に進出。それが「Virgin Atlantic Airways」ですね。日本でも1989年から2015年まで就航されていました。

なお、英国航空との訴訟費用の捻出等のため、92年、ブランソン氏はやむなくVirgin RecordをEMIに売却。それに伴い、日本で同レーベルの作品を扱っていた「ヴァージン・ジャパン」は名称変更、その販売権は東芝EMIに移り、洋楽のみならず邦楽のレーベルとしても使用されていきました。2012年、EMIがユニバーサル ミュージック グループに買収されてからも、このレーベルは、その高いブランド力から、グループ内で世界的に活用されています。

Virginグループの詳しいヒストリーはこちら(英語)https://www.virgin.com/about-virgin/timeline

そして、今や「Sir」の称号を獲得したリチャード・ブランソン氏ですが、航空業界から、視野を「宇宙」に広げています。その名も「Virgin Galactic」という宇宙旅行会社を設立しており、20217月11日(現地時間)にはブランソン氏搭乗の初宇宙飛行を成功させたそうです。実業家かつ冒険家である氏には、宇宙旅行は最高のマーケットかつターゲットなのでしょうね。

なお、ONION商標・弁理士の山中は、中学生の頃はVirgin Recordのアーティスト、カルチャー・クラブやスクリッティ・ポリッティといったアーティストをきっかけにイギリスの音楽に夢中になり、大学生の頃は新宿のVirgin Megastoreに入り浸り、卒業旅行もVirgin Atlanticでロンドンに行ったほど影響を受けたそうですが、その後東芝EMIに入社・同レーベルの洋楽作品を扱う部署に配属になったことから、ラジオ局で封筒にこのロゴを何千回と書きながら、スパイス・ガールズやケミカル・ブラザーズなどの宣伝用CDを配っていたそうです。今でも結構上手に書けるそうですよ(笑)。

※2021年7月12日一部追記