2024.10.24 木曜日

【そのお仕事に必要な商標は「コレ」です】美容サロン・美容クリニックを創業する人がとるべき商標とは?【商標登録】


「美容」とは一体なんでしょうか?

辞書だったり、法律を見てみると、だいたい

「(さまざまな方法で)容姿を美しくすること」

と定義づけられています。

昨今では、過剰な外見至上主義は「ルッキズム」として批判の対象となり得ますが、個々人の「より美しい自分でありたい」という気持ちは尊重されるべきですし、それは決して他者目線の話だけではなく、美容をすることで自分自身に自信を持てるようになる、結果的に日々の生活、長い目で見れば人生を、前向きに過ごすことにつながっていくものでしょう。

そうした人間の「美への希望」をサポートしたい、という想いから、「美容」に関する事業を始められる方も多くいらっしゃいます。ところで、ひとくちに「美容」といっても、さまざまですよね。一番多くの人に身近なものとしては

・「美容室(ヘアサロン)」

がありますし、

・より幅広い美容を提供する「美容サロン」、

・医療行為を施術する「美容クリニック」

もあります。それらが提供するサービスも、痩身、美肌、脱毛、爪やまつ毛など、目的や対象も異なるものから構成されています。

いずれにしましても、新規に「美容」関連の店舗・事業を創業される方であれば、その初期費用の中に必ず「商標登録(商標権の取得)費用」を折りこんでいただきたいと思います。以下を読んでいただければ、その重要性がおわかりいただけると思います。

①なぜ、美容関連の事業を始めるのに、商標登録がマストなのか

美容に限らず、商品やサービスにつける”目印”は、商標登録をすべきなのですが、それは弊所所長が書いたこちらを読んでいただくとして、

【知財キホンのキ】年末にあらためて考えるー商標登録の意義とは? “攻め”と”守り”の観点から、弁理士が解説します
http://onion-tmip.net/update/?p=489

ポイントをお伝えすると、

*競争の激しい「美容」業界では、目立つ、覚えやすい、それでいて事業者の想いを象徴的に表現した、「店舗名」「ブランド名」「それらのロゴマーク」を付して、事業を提供することはマスト。
*そうして名付けた、「店舗名・ブランド名・ロゴマーク」を、独占的に使用するためには、商標登録をしておかなければならない。

商標権を取得するのに、会社か個人か、会社の大小は問われません。先に商標権を取得しておけば、どんなに大きな会社にも対抗できます。そして、

*同業他社が多く存在する中から、お客様に「選んでいただける」だけの信頼が上がっていくことにより、その「店舗名・ブランド名・ロゴマーク」に積み重なっていく「ブランド力」を、会社の(無形)資産とするためには、商標登録により「商標権」を取得しておくしかない。

ということなのです。

②美容関連で、商標登録をすべきは店舗・ブランド名?ロゴ?デザイン?

では、美容関連の事業の、”目印”として機能するのって、どの部分でしょう?

*想いを込めてつけた、店舗名/ブランド店舗名(文字)でしょう →文字は商標登録の対象です。
*かっこいいロゴマークがあるんです →図形も商標登録の対象です。

「えっ、文字と図形の2つも商標登録しなければいけないの?」と思われるかもしれませんが、以下のポイントを通じて、優先順位の高い順に登録を検討してください。

*お客様にメインでアピールしているのは、どちらか。

→店舗の看板や、ウェブサイトでも「ロゴマーク(※店舗/ブランドの文字を含むことが多いですよね)」を目立たせているのであれば、ロゴマーク優先(図形商標)

→「ロゴマークは普通だが、店舗/ブランドのネーミングが特徴的なので、覚えやすい」「デザインは複数あるが、むしろ店舗/ブランドの名前こそ覚えてほしい」「店舗/ブランドの名前は決まっているが、まだロゴマークはできていない」というような場合は、文字(※標準文字)での登録を優先させてください。

*ただし、店舗・ブランド名が「◯◯美容サロン」(※例:◯◯の部分には、有名な地名が入る)のような場合は、「(その文字を含む)ロゴマーク」(図形商標)としての登録を目指すことをおすすめします(→その理由は⑤「誰も登録できない商標」をご参照ください)。

*また、美容関連の「インフルエンサー」の方など、ご自身の「氏名」「芸名/ビジネスネーム」が、商標として登録できる可能性もあります。

【知財キホンのキ】2024年4月法改正施行!「氏名」の商標登録がしやすくなります
https://onion-tmip.net/update/?p=1860

③美容関連の商標登録で、指定すべき「区分」とは?

商標登録出願は、その商標を(”目印”として)使用する商品・サービスを指定して出願します。そして、登録が認められた場合は、その指定した範囲で商標権が発生します。

そして、世の中の商品やサービス(※役務、といいます)は、45種類(第1類〜第45類)の「区分」に分類されています。

「美容」といっても、さまざまな分類があるよね…というのは前述のとおりですが、実は非常に便利な指定役務があります。

第44類 「美容」

という指定役務です。ちなみに、この指定役務の英訳としては”beauty salon services”が付されています。いわゆる「美容室」が提供するヘアカット、ヘアメイクが想定されますが、かなり包括的な表現ですね。

そしてこの第45類には、その他にも、より具体的な細分化された「美容」に関する指定役務も分類されているんです。たとえば、

「エステティック」

「脱毛」

「痩身美容」

「(歯の)ホワイトニング」

「ネイルケア」「ネイルアート」

「まつ毛の美容」

…etc.です。
同じ区分内であれば、指定商品はいくつでも記載可能(※一定数を超えると、使用意思に関する書類を求められますが)ですから、包括的な役務「美容」と併せ、提供する美容サービスを、より具体的に表現した役務も、重ねて指定するとよいでしょう。

その他に考えられる指定区分としては、前述の「美容関連のインフルエンサー」の方などは、

第41類 (美容に関する)「セミナーの企画・運営又は開催」「知識又は技芸の教授」

等が必須になってきます。また、インターネット/SNSを通じて、動画を発信されることも多いでしょうから、

第41類「インターネットを利用して行う映像の提供」

なども指定しておきたいところです。

また、美容のサービスとの相乗効果を狙って、同じブランド名で発売する商品、たとえば

第3類 「化粧品」

第5類 「サプリメント」

などが考えられます。3年以内に、こうした商品展開をする可能性が高い場合、併せて指定してしまうほうがよいでしょう。一方、

「オリジナル・ブランドの商品じゃないけど、他社による美容関連商品を仕入れて売りたい」というような場合は、

第35類 小売等役務

  (指定役務「◯◯(※商品名)の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」

を指定する必要があります。これは、さまざまなブランドの商品を扱うショップが指定すべき区分・指定役務となります。

なお、この区分は、特許庁に出願時・登録時に納付する費用にも影響を与えます(※区分数が増加するほど、これらの費用も上昇していきます)。弁理士に出願等の手続き代理を依頼する場合の費用は、弁理士(事務所)ごとですが、これも区分数に連動させている事務所は多いので、総額費用のお見積りを確認しつつ、その商品・役務の使用予定と照らし合わせながら、指定する区分の決定することをお勧めします。

④特定の人だけが登録できる商標

前述の「美容」に関する指定役務が分類されている、第44類には、「医業」という指定役務も分類されています。医師免許を必要とするサービスを提供する場合は指定するべきですが、逆にいえば、医師(個人)や、病院や医療法人など、医業を行うことのできる国家資格を持つ出願人でない限り、登録が認められません。これは、(登録)商標は「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする」ものであることが大原則であるところ、その使用には資格が必要→その資格を所有していなければ使用できない→故に登録は認められない、ということになります。

⑤誰も登録できない商標

商標登録の原則は「早い者勝ち」です。もう少し詳しくいえば、③で説明した「指定商品・指定役務」が重複する範囲で、せっかく自分で思いついたブランド名と、同一か類似の商標を、他人が既に出願(→登録)していれば、商標登録は受けられません。

ただ、世の中には「誰もまだ登録していない」のではなくて、「誰に対しても登録が認められない」商標というものがあります。そのポイントは、その商標に”目印”となる力(「識別力」、といいます)があるかどうか。つまり、他人の商品等と、しっかり区別することができるか、という点です。

たとえば、極端な例で言えば、「指定役務『美容』について、商標『ビューティーサロン』を登録したい」と思っても、指定役務の一般名称・普通名称として「ビューティーサロン」が通用されているわけですから、他人の商品と区別する識別力がありません。こういう商標は、誰にも登録が認められないわけです(※誰か一人に独占させるのはよくない、という観点もあります)。

このような識別力のない商標を「記述的商標」と呼んだりします。他にも、美容というサービスの「質」「内容」などをただ説明しただけの文字商標は、誰にも登録が認められません。

その点、「◯◯(地名)+美容サロン」(例:指定商品「美容」について、商標「九段下美容サロン」)の商標の場合、

「その◯◯という地域にある(その地域でサービスを提供する)、美容サロンなんでしょ?」という風に受け止められますよね。つまり、「識別力」が弱い文字なので、なかなかブランド力を獲得しづらいですし、そもそも商標登録が認められない可能性もあります。

しかし、そのような場合でも、

◎識別力のない文字に、ロゴマーク(※一般的には、図形には識別力が認められます)を加えれば、記述的商標とはならずに、登録できる可能性が出てきます。

これが、前述の②で述べた、「店舗・ブランド名が『◯◯美容サロン』(※例:◯◯の部分には、有名な地名が入る)のような場合は、『(その文字を含む)ロゴマーク』(図形商標)としての登録を目指すことをおすすめします」という理由となります。

なお、ロゴマークで商標登録できた場合でも、そこに含まれる「識別力のない文字」の使用について、独占することはできません。しかし、それでも、そのような文字をブランドとして使っていきたいというかたは、ロゴマーク化をご検討ください。

⑤美容関連ビジネスの商標登録をすべきなのは、どのタイミングか?

「最初はこじんまりと始めますんで、人気が出てきたら商標登録考えます…」というのが、一番危険なパターンです。前述のとおり、商標登録の大原則は「早い者勝ち」ですから、後回しにしておくと、他の人に先に出願→登録されてしまうかもしれません(そうなったら、あなたの商標は、登録できないことになってしまいます)。

もっといえば、商標登録をせずにサービス(役務)を提供してしまった後になって、実は自分の商標が、他の人が登録していた商標と同じ又は似ていた場合、その人の「商標権侵害」となってしまいます。想いを込めて名付けた銘柄を、変更しなければいけなくなれば、精神的な痛みだえけでなく、マーケティング/経済的な痛み(パッケージ、看板、名刺、ウェブサイト等の変更…最悪、損害賠償も)も伴います。

なお、②とも関連する話ですが、ロゴマークに文字(商品のブランド名)が含まれている場合、「ロゴの図形は類似ではないんだけども、文字が同一又は類似である商標」も、類似と判断される可能性が高いです。
ということは、先に他人によって(「美容」等と類似する商品の範囲で)同じブランド名(文字)が先に出願されていたら(※いわゆる先願です)、あなたのロゴマークは先願との類似を理由に拒絶され、登録ができない可能性が高くなります。

「これで行きたい!」という店舗名/ブランド名の第一希望案が決まったら、それで具体的な製作に走り出す前に、ぜひ商標登録に向けて、登録可能性の調査から始めてください。
特に、ロゴマークに商品のブランド名を含める場合、そのデザインをし始める前に、そのブランド名(文字)の登録可能性を調査する必要があることにご注意ください。

逆に言えば、もし、すでに美容関連事業をスタートしており、軌道にのっている、すなわち

「うちの美容ビジネス、人気が出てきたな、ブランド力がついてきたな」と感じているのに、まだ商標登録出願をされていないという方。

もう”待ったなし”です。大至急、商標登録出願に向けて、”商標に強い”弁理士にご相談ください。

********

「美」に強い!エンタメに強い! ONION商標知的財産事務所
https://onion-tmip.net/

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
好評です! ONION商標の新サービス
ロゴ作成+商標登録 =「ロゴトアール®」
https://logoto-r.com/

ロゴ制作から商標登録完了まで、弁理士が一括サポート。
いいロゴに®もつけましょう!
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲